マグカップ、取っ手の失敗しない付け方
陶芸教室でという前提ですが、比較的簡単できれいに仕上がる取っ手のつけ方を紹介します。
民芸の窯元さんのように、太い土ヒモから手に水をつけながら伸ばしていくのは、かなりの練習がいります。窯元さんのように大量に作らないのに無駄な努力をするより、この工程の通りにすればまず、失敗しないのではないかと。KIKI -clubでも、このやり方で会員のみなさんもステキなマグカップを作られています。
陶芸教室で、私のできることって何かな、といつも考えています。
作りたいものを作るためには、いくつもの方法があるとは思うのです。
私が教えられるのは、その中のひとつの方法にはすぎないけど、確実にたどり着けるやり方。
『ものすごく練習しなくても、工程をひとつひとつこなしていけば、あなたらしい作品が(いい感じの作品が)、失敗せずに、できますよ、楽しんでね』
KIKI-clubでは、いつもそんな思いでのぞんでいます。
マグカップの取っ手の付け方の5つのコツ
①カップ本体の乾燥状態が半乾きで取っ手をつける
②タタラ作りで粘土の板を作り、それをカットして取っ手を作り、柔らかい粘土のままつける
③取っ手をガーゼに包んだまま曲げて、形にする
④いったんつけた後、取っ手が半乾燥状態になったところで再度仕上げをすること
⑤伏せた状態でゆっくり乾燥させること
大きなコツは、以上の5つです。
取っ手はタタラで作らなくてもいいのですが(例えばひもでも)きれいに仕上がるので教室では人気です。この5つをおろそかにすると、失敗に直結します。
これは絶対ホント!
では、長くなりますが、1つずつ、細かく説明しましょう。
①カップ本体の乾燥状態が半乾きで取っ手をつける
まずは本体のカップ部分を作ります。
そして高台を削ります。
この時に、乾燥が進みすぎていると、取っ手をつけたときは 大丈夫でも、乾燥・焼成のどこかで必ずヒビが入ります。これはもう必ずです。
半乾燥、というのは、粘土の色は変わらないけれど(乾燥すると色が変わってきます)、指で押しても形が変わらないほどには乾燥が進み固くなっている状態です。
口縁の部分は特に乾燥が進みすぎでしまいますので、いつもより注意深く乾燥させましょう。
なるべく軽く、特に腰の部分を軽く作りましょう。
②タタラ作りで粘土の板を作り、それをカットして取っ手を作り、柔らかい粘土のままつける
タタラ作りでなくてもいいのですが、その方がきれいな取っ手が出来ます。
大事なのは、柔らかい粘土のままつける、ということ。
取っ手を本体のカップと同じくらいに乾燥させなければいけないと思ってる勘違いが、一番多いかも。
2つの理由があります。
1つは取っ手の方が乾燥が早いので、乾燥の途中で、ヒビが入りやすいこと。水分は移動するので、柔らかい取っ手の水分を半乾燥の本体カップが吸い、ヒビを防ぎ、うまく乾燥してくれるのです。
もう一つは、柔らかい方が、カップに合うラインにしやすいからです。きれいに張らせられます。
参考までに、サイズを。
③取っ手をガーゼに包んだまま曲げて、形にする
ガーゼに包まず取っ手を曲げると角のところにピリピリと細かいヒビが入りやすいです。ガーゼで包んでから曲げるとそれを防げます。曲げる前に角を軽くつぶしておくと、丸みが出ますので、持ちやすい取っ手になります。
本体のカップに合わせてみて、長さの微調整をします。
カップの真上からと真横から見て、歪んでないように気をつけて、取っ手をつける位置に印をつけます。
接着するところ両方にきずをつけドベをつけます。
取っ手上部から圧着しながらよく付ける、しっかりつけてください。
取っ手の粘土を少し本体に伸ばすように付ける逃したコツですが、柔らかいので粘土の厚みが変わらないように気をつけてくださいね。そっと優しく持って、しっかりつけるという矛盾した行為をやらなくてはいけません。
下部部分もつけたら、好みのラインに張らせましょう。
ひっくり返して、しばらく乾燥させます。
環境にもよりますが、2時間ぐらいでしょうか。
柔らかい取っ手が、硬くなってきます。粘土の色は変わらず、乾燥し過ぎてはいない、という半乾燥状態です。そうなったら、本体から取っ手が生えてきているように見える、を目標に整えます。きれいなラインを目指して、少し粘土(柔らかい)を足したり、削ったり、キツく絞った皮で拭いたりします。
⑤そうしたら、伏せてゆっくり乾燥させます。
本焼きが済むまで、決して取っ手を持ってカップを抱えないで!!
最初の1個、2個は時間がかかりますが、だんだん慣れて早くつけられるようになりますよ!
昨年、KIKI-clubでは、
『マグカップ研究、たかがマグ、されどマグ』
というテーマで、突き詰めてマグカップを作ってみました。楽しかったあー
また、そのことも話せたらなあと思いつつ、今回は、取っ手の付け方に特化してお話してみました。
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