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陶芸歴30年、岸和田と和歌山で陶芸教室を主宰してます。うつわ作りの話いっぱいと、和歌山の暮らし。笑うように生きたい。


by 中出聖子

底の広い茶碗の実演 陶芸教室KIKI-club


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会員さんのリクエストで、底の広い茶碗(抹茶用)の作り方を実演しました。
茶碗にはいろいろな形がありますが、
実演した写真は半筒茶碗です。


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大事なのは、作るもののイメージをしっかり持つこと。
形、大きさ、焼き上がりの色、質感、厚み。
せめて、これだけは、しっかりイメージしましょう。


①全体の形のデッサン
②出来上がりの大きさ
③逆算して作るときの大きさ(収縮率はKIKI-clubでは15%として計算しています)
断面図
焼き上がりの色と質感(土・釉薬・装飾方法・焼成方法を選ぶということ)

などをノートなどにしっかり描くと、イメージも固まってきます。
ふわふわしたイメージしかないと、作っている途中で迷います。
迷い道フラフラ~♪です(あ、これわかる人、少ない?古いですかね笑)

今回作る茶碗や前回の水指などは、ある程度、大きさに普遍性がありますので
本やネットなどで、たくさん作品を見て、サイズを調べると、その普遍性がわかってきます。
こういうのはね、手間はかかりますが、自分でやると身に付きます。
がんばって。

このイメージを固めるというのは、上達の近道(あるとすれば)、王道で
私も、作るときは、必ず、しっかりやります。
KIKI-clubでも、ずいぶん浸透してきました。

落ちりやすい失敗のパターンというのが、長年陶芸教室をやっていますと気づいてきます。
それを踏まえて、簡単だけど、かっこいい茶碗ができる作り方を実演しました。


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卓上ろくろ、手びねりで作る場合、
底の広いものはひも作りで作る方がいいでしょう。
通常より厚めの円盤状の土に
1段、ひもをしっかり積んだところで、(1段目のしっかりは大事!)
さきに、腰のラインと茶だまりを作り、底を仕上げてしまいます。
腰の部分が、へこみすぎたり、内側と外側のラインがそろわず厚みがありすぎたり、
というふうにならないように仕上げます。
それでもなった時のリカバリー、へこみ過ぎの場合は、細いひもを内側につけてなだらかに伸ばします。

茶だまりは、かきべらで削り、そのあと、指や固く絞った革やスポンジなどで、
しっかり土を締めて、自然なラインを作りましょう。
わざとらしいのは、ねえ。

底の広い茶碗には、茶だまりというのは一つの景色でもあると思います。
茶碗の中の宇宙。
それを担う一つの要素でもあると思うのです。
(茶だまりはすべてのお茶碗にあるわけではありません、そこらへんは話が長くなるので)

もちろん、この作り方は、あくまでも陶芸教室の方のために、工夫したものですので。

イメージした断面図の通りになるように、作りましょう。


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ここまで出来たら、半分はできたようなものです!
逆に言えば、ここまでを意識せずに作っちゃうと、あとでなかなかリカバリーできません。
『土台は大事』は、何にでも当てはまりますね。
ここまでをしっかり作りましょう。

2段目のひもを積むときは、イメージ通りにできた底の形を崩さないように、意識しましょう。
あとは、思っている高さまで積みます。
こういう腰が張った茶碗は、口縁に向かって少しだけすぼまっていく方が、
いい形にしやすいです。
うつわの内側を見ながら作りますが、腰の張りは、自分が感じている以上に張らせないとイメージ通りになりません。

口縁は、薄くなり過ぎないように。
だいたいの形ができ、厚みも80%までは仕上げます。
口縁をカットするときはこのタイミングでカットすると自然になります。

水引きのできる人は、ここで初めて水引きをします。
まず厚みをそろえ、残りの20%を整える気持ちで。
卓上ろくろは、電動ろくろと違い、スピードが落ちてきますので、引き方にややコツがあります。
①スピードが落ちる前にさらに回すのが大事です。
スピードが落ちると、ゆがみやすくなります。
②水の量の少ない人が多いです。
水が切れてくると摩擦でゆがみます。常に水分量に気を配り、足らなければ足すことが大事です。
へたるのが怖くて、水分が少ない人が多いようです。(ドべ状の方がベストですが)
それより、へたるのは、時間をかけ過ぎのことが多いです。

この2点を気を付ければ、卓上ろくろの水引きもうまくなりますよ。

積み上げて、最後に茶だまりを作るのは、難しく、失敗しやすくなります。

玉つくりで作ると、底を平らにするのが難しく、うまくいかない人が多いように思います。


あとは、ろくろ目の付け方や、沓茶碗への変形のさせ方などしまして実演は終了でした。


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電動ろくろで作る場合は、一個引きの場合、
口縁のサイズくらいの玉で作りましょう。
底の厚みは、多めに、高さを伸ばす前に、腰のライン、茶だまりを仕上げるのは同じです。
きれいに引きすぎないように引くのが、一番難しいかもしれません。

茶だまりを作らなければ、底の平たい鉢も(どら鉢も)この方法で作れます。

もっと大きい鉢は、もう少しコツがありますので、いずれまた。

では、楽しんで、作ってくださいね。




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岸和田教室KIKI-clubをやっております。
和歌山でも、教室、体験、小さなギャラリーをしています。
ご興味のある方はお問い合わせください。





by kiyoi-kobo | 2019-01-28 12:40 | 陶芸