長いことブログをやってるけれど(更新ときどきとぎれますが)
自分の作品の記事が極端に少なくて。
営業してるみたいで苦手で・・・
でもそれは、浅はかなことだったなあと気づきました。
伝えようとしなければ、届かない。
伝える努力をしなければと。
苦手、なんて何様なんだ!と自分に突っ込みつつ、
自分の作品の写真の場所、と思って始めたインスタグラム。
ずらっと自分の作品の写真が並ぶと、
冷たい汗が、さあーっと流れる感じがします。
でもやる!(キリッ、笑)
さて、私の粉引きの話ですが・・・
2003年に独立して、岸和田市の山直(やまだい、と読みます)で工房をオープンしたとき、
近くが造成中で、そこの白土を、白化粧に調合しました。
その後、古巣の西念陶器研究所が、
同じ山直の赤土を泉州土として作り始めたのでそちらをベースに使っています。
工房の前が、
岸和田名産の水茄子栽培のハウスで、そこのご夫婦から水茄子の灰を分けていただいて
それを水簸、調合して水茄子灰釉薬を作りました。
焼成を工夫しながら焼き続けて・・・
こんなふうに言うと簡単なんですが、
調合するのも何年がかりかの仕事で。
もし、作ることだけに集中できる環境なら、もっと早く結果も出せていたかもしれませんが
いくつもの陶芸教室と学童期の子供たちもいましたし、
とにかく、亀の歩み。
それでもあきらめずに、こつこつと作り続け、試作し続けていたからこそ、
わかってきたことがたくさんありました。
やっと、自分なりの粉引きがつかめてきている手ごたえを感じています。
この週末のイベント出展が済み、秋の終わりに恒例の年一の薪窯の作品を作り始める前に
一度、集中して粉引きを作ってみようと思っています。
親の家を大改装しての、陶芸教室のオープン準備と並行しながらではありますが、
わくわくしているのです。
5月のおお笑輪陶展の際、ひとつだけ、
ちょっといいのができたなあと自分でも思っていた粉引きの茶碗を
和泉市の尊敬するお茶とお花のT先生にお求めいただきました。
少し大ぶりの朝顔型の茶碗です。
土の味をいかした、表情のある白を何時も目指しています。
茶碗作りは、自分の、先の見えない永遠のテーマです。
毎年、必ず、何かしら茶碗を作っているのですが、
届きそうで届かない、本当に難しい。
けれどそれが、楽しくて仕方ない。
苦しくて、楽しい、変な感じ。
何十回、書いてもちっともうまくならない箱書き。
せめて、味わいが出せるように、と思うのですが、
これまた、人間力とか覚悟の話になるんでしょうか。
なんとか、木箱に収めて、納品しました。
茶碗にはストーリーがいると思うのです。
お茶室で、心を研ぎ澄まし、自分と対峙する世界
お茶のお道具も、それに負けないちからと、
お茶会のコンセプトに沿ったストーリー性を
吟味して吟味して
そぎ落とすようにセレクトしていくのがお茶の世界だと思っているので、
特に茶碗は、なにひとつ手を抜けません。
土、釉、焼の三位一体がやきものなら
どれひとつ、手を抜かず、それぞれを引き立てあうような選択と塩梅を探さなければなりません。
それが、茶碗の持つちからの源になるのだろうと思っています。
そして山直(やまだい)という土地には、邪馬台国にまつわる故事も残されているそうで、
はるか悠久の夢を見せてくれる土なのです。
T先生はとても気に入ってくださり、
「山直」という銘をつけてくださいました。
それがとても嬉しくて嬉しくて。
灰を何か月もかかって水簸したり、指紋がなくなりそうになったり、
焼成テストを繰り返した日々が、何一つ無駄でなかったのだと、
一気に報われた気がして、ほんとうにうれしかった。
まだまだ、自分が未熟なことは、十分わかっているのですが、
この出来事は、心の中に核のような自信をつけてくれました。
これからも、これまでと同じように、
つまづき、思い悩み、ときには吐きそうになるにちがいないけれど、
きっとこのことを思い出して、まっすぐに粉引きを追い求めていける気がします。
私の、いまの ものつくりには 3つの柱があります。
・今、説明させてもらった、山直粉引き
・薪窯作品 (ひとつは緋色と釉薬の組み合わせ、ひとつは焼き締めと白化粧の組み合わせ)
これらも、何年も試してきて、やっと自分なりのものにたどり着いてきたものです
・灰釉をベースにした自分なりの色釉、シンプルなライン、
ふだんのテーブルをわくわくしたものにするチカラのあるうつわ
これは長年思ってきてことを形にしていくことを昨年から始めて、
ふだんの毎日をこそ、ちょっとしあわせに。
うつわを作ることと向き合い、
家族と生活してきたから発信できることがあるのではと思っていて
まだ途中ですが、少しずつ形になってきています。
この3つを柱に、聖工房、これからも
ものつくり地獄まっしぐら!
楽しい地獄さ。笑
あーー、説明って難しい。
伝えるって大変!
パワーいる!
ブログ、読んでくれてありがとうございます。
読むのも、体力いったでしょう!
感謝です。