昨年の春に書いた記事を公開するのを忘れていました(あほ)
あまり、時期に関係ない記事だったので、このまま公開しますね。
陶器は、やきものっていうくらい、焼くことが第一!
なんですが、
たとえば陶芸教室だと、焼くのは先生にお願いするというという場合。
あるいは、窯詰め、窯出しを生徒さんでやるにしても、電気窯で焼成パターンはマイコン制御されているという場合。
焼成を経験させてもらえる稀有な場合も、焼成パターンをおおよそ示されて、窯の焚き方だけを教えてもらう。
自分の講師での経験の中で知ってる限りでは、だいたいこんな感じじゃないでしょうか。
ただそれは仕方がないことではあります。
窯の中は、1250℃を超える世界、
わけのわからぬまま、やってしまえば、大変な失敗や事故を引き起こしてしまうので。
窯がつぶれたり、作品が一窯分だめになったり、
武勇伝(?)は、いろいろな教室で聞いてきました。
わがKIKI-clubでも、諸事情で焼成は講師の私がやりますが、
年に一度の薪窯では、会員みんなで焚きますし、
頼まれれば焼成指導はいつでもやってきました。
そのたび、焼成は温度じゃないよ、カロリーなんですよって
声を大にして言ってきたつもりなんですが、
伝わらないことのベスト5には入りそうです。
できるだけ、わかりやすいように説明したいと思います。
窯には、たいてい熱電対をいれます、いわゆる温度計ですね。
高温をはかるので、白いさやのようなものに包まれてる、あれです(笑)
薪窯にもたいてい入れますね。
熱電対は、窯の中の、その熱電対が入っている場所、「そこだけ」、の「今」の温度だけを指し示します。
デジタルで表示されるし(そういえば、私が若いころはデジタルじゃなかったなあ)
データとして、わかりやすいのでそれを記録してゆきます。
グラフにすると、
縦軸が温度、横軸が時間です。
でいってみれば、熱電対の指し示す温度は、「点」です。
で、カロリーというのは、点をつないで線にした部分の面積です。
同じ温度でも、6時間であげたものと12時間で上げたもの、面積の大きさが違ってきます。
たとえばどちらも1230℃で止めたとして、①6時間、②12時間かけたときのカロリーの違い。
たとえば、①は1230℃で止める、6時間 ②は1220℃で止める、12時間、
温度的には、②の方が低いのですが、カロリー的には②のほうが高い
そうすると、②の方が、土も焼き締まり、釉薬もよく溶けているという現象も起こるのです。
ごく簡単に言えばこういう違い。
そして、
市販の釉薬などに、焼成目安と書かれている温度は、ゼーゲルコーンの温度のことです。
熱電対の温度だと、不安定です。
ある人は1230℃を、6時間かけて焼いて溶け不足。
ある人は1230℃を、12時間かけて焼いて流れる。
例えばですが、こういうことも起こります。
なので、ゼーゲルだとカロリーで倒れるので、安定した条件を指し示せます。
同じ温度表示なのが、誤解の元かもしれませんね。
意外と理解できてないことのひとつです。
私はオルトンコーンを使っています。
右3つは自立型のオルトン。少し高い。
左~普通はオルトン用の台があるのですが、経費節減で童仙傍で作ってます。
焼成後のオルトン、並べてみました。
オルトンの先が地面すれすれで完倒、その温度(カロリー)に達したことを意味します。
1~4は窯の棚組の段数。下から1段と数えます。
うちの電気窯は8KW、小さめで、小回りが利きます。
1段目が一番焼成カロリーが高いことがわかりますね。
7は1250℃ 8は1260℃ 9は1280℃
同じ窯内でも焼成カロリーがちがうことがわかります。
電気窯ですら、こんなに違う驚きです。
うちのガス窯はもっと違います。
どんなに工夫しても均一になんか焼けません。
それをもとに、どう入れるか、が勝負です。
焼成温度(カロリー)だけに特化しても、いくつもの焼成パターンが試せますね。
ほんとう、焼くって奥が深い!底なし沼です!!
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