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陶芸歴30年、岸和田と和歌山で陶芸教室を主宰してます。うつわ作りの話いっぱいと、和歌山の暮らし。笑うように生きたい。


by 中出聖子

薪窯焚き、終りました②

今回の窯焚き、
何がこんなに大変だったか?
結論から言えば、煙突の引きがとても悪かったこと。
おそらくは、煙突のつまりが原因では?と思われます。

こんなことは初めての体験でしたが、
焚いても焚いても温度が上がらない、それどころか下がっていく、
燠(おき)が貯まるタイミングが早すぎるし、
薪はすごい煙を出すし、
下手すると薪が焚口の外で燃え出すし、
燠を燃やそうと空気を入れながらゆっくり我慢して焚いても成果は出ず・・・

攻め焚きに入った頃から違和感は感じていましたが、
まず焚き方の問題かと思い、薪を放り込むタイミングをゆっくりにしてみたり、
(逆に早くしてみたり・・・論理的には違うと思っても試せるだけのことをやってみたのです)
考えられる焚き方をいろいろ試して、ああでもない、こうでもない、
仮眠をとっている暇などなくなりました。
一晩、無為に過ごし、もしかしたら薪が悪いのか(すごい煙だし)、
しかし、あまりにも引きが悪すぎる・・・そんなはずないけど、煙突のせい?
やっと、そこに思い至りますが、だからといって焼成中にどうしたらいいのか・・・

様子を見に来た窯のオーナーの師匠に相談すると、
身軽なスタッフと脚立を持ってきて
屋根に上がり、煙突の上から、小さめの薪を落とす―ーという技を。
薪はきっと燃えながら落ちていく、そのときに煙突のつまりは少し解消されるようです。
3回繰り返しました。

そのあと、焚いていると、ものすごい黒煙がぶわ~。

ふつう、大目に薪を放り込んだとき、黒煙が出るものです。
攻め焚きのときは、この煙と炎を出しながら焚くのです。
そうすることで、窯が還元状態になります。
土の色や緋色、窯変に影響を与えてくれるのです。
けれど、今回の窯では、ほとんど煙が出ず、不思議だったのですが、
このものすごい黒煙は、やっと窯が動き出した合図のようでした。

やはり、煙突のせいだったのでしょう。
最終日(になるはずだった)の朝、煙突の引きが少し解消し、
そのあとじわじわ昇温していきました。
(できればやらないですませたかったけど)予備の9時間もプラスして焚いて
最終的に予定通りとはいかないまでも、何とか焚き終わりました。
感覚としては、まだいまいち引きがよくないようにも感じました。
ただ、本当のところはどうなのかはわからないことです。

とにかく、焚き終わりました!

このあと、窯がさめ、12日の窯出しまで、考えてもどうにかなるものでもありませんし。
それまでは、できることをたんたんとやるだけ。
昔は、その切り替えができなくて、ずいぶん苦しみました、あほですね(笑)


翌日は再び、岸和田へ。
使った薪の確認と、焼成の報告と煙突の対策を窯のオーナーと話し合いました。
煙突のメンテナンスをお願いしたのですが、
今の状況で、煙突掃除というのは簡単ではないそうです。
一度はずして元に戻すということもむずかしいということで
次回までに煙突の交換を提案していただき、ほっと一安心。
感謝です。
私もできるかぎり、手伝います。なんなりと・・・

そして、自分も反省すべきところはしっかり反省し、
課題も見つけたので、来年に向けて少しずつ進みます!!


温度が上がらなくて、四苦八苦しているとき、
もう今までのやり方ではどうにもならなくて、
必死で考えて焚き方をいろいろ試したこと、
今考えるととても勉強になったと思えます。
どうしても、
常識だと思ってることを捨てづらい、
過去にうまくいったやり方に固執してしまう、
わかってはいても、なかなか踏み出せないものですが、
今回、もう捨てちゃえと、
捨てないと進めなかったから。

次は、今回の方法も捨てることになるかもしれませんが(煙突などの条件が変わるので)
捨てるコツみたいなのが、少しわかったような・・・

いい経験させてもらいました。
感謝です。


昨日、やっと窯の収支と焼成カードをもとに焼成費の計算が終りました。
『薪窯は、みんなで焚く』
このコンセプトのもとにやっているので、
私を含めて窯のことは公平にすること。
面倒で難しいこともありますが、そう決めているので、
焼成費の計算も時間がかかりました。
ぼちぼち連絡していきますね。


これが終れば、薪窯の記録の整理、
体験教室で来られた方の作品の釉薬掛け、焼成(これは電気窯)、
次のテーマの練り上げの講義のレジュメ作り、
11月末にあるKIKI-clubのイベントのお茶事の準備、
12月にある小さなイベント2つの準備、
来年のKIKI-clubの1年分の予定作り・・・
と今年はあと2か月、けっこう忙しそうです。

ありがたいことですね。
ひとつひとつをせいいっぱい、でも気楽に楽しんでやろう!と思ってます。

さて、今日は義父を病院に連れて行く日です。
夜も明けました。
朝が来ました。
あたらしい一日が、はじまります!






by kiyoi-kobo | 2015-11-09 06:55 | 窯焚き